コラム
学校保健委員会で考えた、子どもの運動と健康〜体幹と口腔機能の意外なつながり〜
本日、小学校の学校保健委員会に参加させていただきました。
今回のテーマは「運動と肥満」で、学校医、PTAの皆様、先生方、そして地域の皆様と、様々な立場からの貴重なご意見を伺うことができ、大変有意義な時間となりました。 運動不足と子どもの健康 委員会では、子どもの肥満が社会問題となっている現状や、運動習慣の重要性について改めて認識を深めることができました。
外で遊ぶ機会の減少、ゲームやスマートフォンの普及など、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。その中で、どのようにして子どもたちが楽しく体を動かし、健康的な生活を送れるようにサポートしていくか、活発な議論が交わされました。
歯科医師の視点から:体幹と小児口腔機能低下症
私は歯科医師として、体幹と小児口腔機能低下症の関連について簡単にご説明させていただきました。一見すると関係なさそうに思えるこの二つですが、実は密接なつながりがあるのです。
小児口腔機能低下症とは、お子さんの食べる、話す、飲み込むといったお口の機能が十分に発達していない、あるいは低下している状態を指します。
これには、口呼吸、低位舌(舌が正しい位置にないこと)、ぽかんと口が開いている状態などが含まれます。
では、なぜ体幹が重要なのでしょうか?
姿勢の維持: 体幹がしっかりしていると、正しい姿勢を保つことができます。猫背や姿勢が悪いと、顎の位置が不安定になり、お口周りの筋肉のバランスが崩れやすくなります。
呼吸の安定: 良い姿勢は、深い呼吸を促します。口呼吸ではなく鼻呼吸がしっかりできることは、お口周りの筋肉の健全な発達に不可欠です。
舌の位置: 体幹が安定していることで、舌を正しい位置(上顎にぴったりとついている状態)に保ちやすくなります。舌が正しい位置にあることは、顎の成長や歯並びにも大きく影響します。
実際に、体幹が弱いお子さんの中には、お口をぽかんと開けていたり、舌の使い方が不十分だったりするケースが多く見られます。このような状態が続くと、将来的な歯並びの問題だけでなく、発音や食事の際の咀嚼能力にも影響を及ぼす可能性があります。
私たちにできること
運動は、単に体を動かすだけでなく、体幹を鍛え、正しい姿勢を身につけ、ひいては口腔機能の健全な発達にも寄与する重要な要素です。
子どもたちが積極的に体を動かす機会を増やし、健やかな成長をサポートすることは、学校、家庭、地域が一体となって取り組むべき課題だと改めて感じました。
当院では、お子さんのお口の健康をサポートするため、むし歯治療だけでなく、口腔機能のチェックや、必要に応じてお口周りの筋肉を鍛えるトレーニングのアドバイスなども行っています。
お子さんの姿勢や口呼吸など、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
今回の学校保健委員会で得られた学びを活かし、今後も地域の子どもたちの健やかな成長に貢献できるよう努めてまいります。